開発日誌

同人ノベルゲームの開発に関することを散文形式で書く。とは限らない。

『ビフォアラ』音楽のはなし:ボーカル曲編

 

こんばんは。

おかげさまで、ホラーノベルゲーム『ビフォー・アライビング・アット・ザ・ターミナル』はSteamで好評配信中です(本当*1)。ありがとうございます。

 

前も書いたとおり、このゲームのBGMはすべてPrhyzmica様からご提供いただいています。

使用曲の一覧はSteamのストアページにありますが、どこのシーンでどの曲が使用されているかは書いていません。

 

そこで今夜は
『ビフォアラ』の、あのシーンで流れている歌の題名は?
ということについて説明していきます。ストリーミングサイトへのリンクを張ってますので、全曲フルで試聴できます。

 

なお下記にはゲームのネタバレがどさどさありますので、最後までプレイされてからご覧になってください。

  

 

以下
『ビフォー・アライビング・アット・ザ・ターミナル』の

ネタバレがあります。

  

 

 

  

 

アルバム『timescaler』より3曲

スペクタキュラー

2周目・小学生編「廃病院の二階」

夏休みに廃屋で、綾子さんとドクターペッパーを飲むシーン。歌詞の内容が、奇跡のようにストーリーと一致しています。ぜひフルで聴いてみてください。

 

ユビサキ

2周目・中学生編「もうすぐ来られなくなる」

綾子さんと2人で田んぼ道を歩くシーン。恥ずかしいくらい青くて、ひたすら微笑ましい歌。

 

ルル

2周目・高校生編「子供を見た」

駅前のペデストリアンデッキで、根津先輩と一緒にケバブサンドを食べるシーン。根津先輩の、シュウに対する気持ちを歌っている(と山科が勝手に思っている)歌です。黙読だとこのシーン、曲の長さと文章読む時間が一致する。たぶん。知らんけど。

 

 

アルバム『月の息』より

ようこそ

最終話の4. 「フィールドワーク(3/3)」

松林を魚住さんと一緒に歩くシーン。
『月の息』は名曲ぞろいのアルバムです。「沈む」「地平線」など穏やかで美しい曲もあれば、この「ようこそ」や「セカイノシクミ」など怪しげな魅力のある曲もあって、聴きながら本当に驚きます。

 

 

アルバム『Digitalism』より

If We Should Meet Again

エンディングテーマ曲

エンディングにはこれしかない、と山科が一目惚れした歌(目?)。主人公の「彼女」への思いを歌っているかのようです。君のことを思うといつも、心が痛む。

 

上記の楽曲は、BandcampからDL購入ができます。気になった曲があったらぜひ聴いてみてください。

 

今回はボーカル曲についてでしたが、それ以外のBGMについてもできたら紹介記事書きたいです。

 

2. 最近のゲーム

『DEATH STRANDING』クリアした。

お父さん(クリフ)が好き。顔も好みだし人柄も。

 風景の美しさ「だけ」でここまで楽しめるのは、希望のような気がした。歩いてるだけで楽しいゲームだ。コラムニストのブルボン小林は、「かつてゲームは観光だった」と指摘したが*2、現代でもそれは可能なのだなと感じた。

 あと面白いと思ったのは、「素材を投入すると建築物ができるゲームシステム」を、「本当の光景」として表現してしまったこと。

 材料や資金を消費してビルを建てたり橋を造ったりするシステムは、様々なゲームで登場する。たいてい、コンソール画面上でビルや橋を選択すると、一挙にボン! とその建物が出現する(そして、材料や資金を表す数値がUI上で減少する)。

 それはゲーム的な省略・単純化として、「ボン!」をやっていたのだ。「本当は一定の時間と手間がかかっているんだけど、まあ、途中のシーンはカットしています」というていで、プレイヤーに納得してもらっていた。

 でも本作では、3Dプリンタ的な未来デバイスで「本当に一気に建物ができている」ものとして建築シーンを描いた(素材はサムが本当に手で持って、プリンターに入れている)。美麗なCGで橋や国道がモリモリ出現していく光景は、ある意味、滑稽とも感じられる。

 そのような光景やそのような架空のデバイスを導入せざるを得なかったのは、ゲームの映像が進化したためでもある。美麗な、実写と見まごうCGを描けるようになってしまったからこそ、かつては単純化できていた光景(ボン! とビルが建つ)が、単純化できなくなった。誤魔化しがきかなくなったのだ。つまり、一瞬で建物が建つ「理由」をちゃんと説明しなければならなくなった(そうでなければ逆に、ゲーム内の画風や表現を全てコミカルにデフォルメして、ビルが突然出現しても不自然でない雰囲気にする必要がある)。

 人物の動きや地形、木、岩等はリアルなのに、建物だけ一瞬で完成してしまったらミスマッチだ。でもかといって、「大工さんが来て……柱を立てて……」と、そんな過程を美麗なCGで描写したら、まだるっこしいしそれこそギャグになってしまう。『DEATH STRANDING』は、「カイラル・プリンター」というフィクションのデバイスを導入することによって、この描写の問題を回避した。

*1:Steamストアで本当に「好評」って書いてある(2020/3/7現在)。びっくりだ。

*2:ブルボン小林『ジュ・ゲーム・モア・ノン・プリュ』(ちくま文庫)